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【書籍】「現代の事例から学ぶサイエンスコミュニケーション」のご紹介

こんにちは!スギヤマケイです。

この記事では、書籍「現代の事例から学ぶサイエンスコミュニケーション ―科学技術と社会とのかかわり,その課題とジレンマ―」(ジョン・K・ギルバート, スーザン・ストックルマイヤー 編著、小川義和・加納圭・常見俊直 監訳、慶應義塾大学出版会)をご紹介します!

 

この本は、各国のサイエンスコミュニケーション研究、科学社会学研究の第一人者が著した文章をジョン・K・ギルバートとスーザン・ストックルマイヤーがまとめ、2013年に発刊された書籍の和訳書です。監訳者の方々も日本のサイエンスコミュニケーション研究の第一人者であり、サイエンスコミュニケーションについて学術的に体系化した教科書の筆頭的な役割を担う本です。

 

【第Ⅰ部 サイエンスコミュニケーションのモデル ―― 理論から実践へ ――】
  • 第1章 サイエンスコミュニケーションの「デザインアプローチ」にむけて
    小川正賢〔工藤 充 訳〕
  • 第2章 科学との対話
    ―― サイエンスコミュニケーションのモデル ――
    スーザン・ストックルマイヤー〔常見俊直 訳〕
【第Ⅱ部 科学のコミュニケーションにおける挑戦】
  • 第3章 科学者による市民との対話
    スゼット・D・サール〔加納 圭 訳〕
  • 第4章 公共政策における科学技術の役割
    ―― 知識は何のために ――
    ウィル・J・グラント〔仲矢史雄 訳〕
  • 第5章 科学技術に反対する市民とともに
    リンディ・A・オルティア〔高梨直紘 訳〕
【第Ⅲ部 サイエンスコミュニケーションの主要テーマ】
  • 第6章 リスクの意味をめぐるコミュニケーション
    クレイグ・トロンボ〔田中幹人 訳〕
  • 第7章 サイエンスコミュニケーションにおける定量リテラシー
    モーリス・M・W・チェン、カーロック・ウォン、アーサー・M・S・リー、イダア・チーモ〔常見俊直 訳〕
  • 第8章 科学技術における倫理と説明責任
    ロッド・ランバーツ〔赤坂亮太 訳〕
  • 第9章 信念と証拠の価値
    マイケル・J・リース〔北原和夫 訳〕
【第Ⅳ部 インフォーマル学習】
  • 第10章 サイエンスコミュニケーションにおける学びを助ける
    ジョン・K・ギルバート〔都築章子 訳〕
  • 第11章 サイエンスコミュニケーションと科学教育
    ショーン・ペレラ、スーザン・ストックルマイヤー〔都築章子 訳〕
  • 第12章 科学系博物館における科学技術コミュニケーションの実践
    レオニー・J・レニー〔渡辺千秋 訳〕
【第Ⅴ部 科学と社会のあいだの現代的課題でのコミュニケーション】
  • 第13章 地球規模の気候変動を伝える
    ―― 論点とジレンマ ――
    ジャスティン・ディロン、マリー・ホブソン〔西森年寿 訳〕
  • 第14章 危機的状況下におけるサイエンスコミュニケーション
    ―― 重症急性呼吸器症候群SARS)の事例から ――
    イウン・チュン・リー〔標葉隆馬 訳〕
  • 第15章 サスティナビリティのためのコミュニケーションの挑戦
    ジュリア・B・コベット〔東島 仁 訳〕
  • 第16章 21世紀における地域固有の知識体系の価値
    ヨナ・セレティ〔吉田実久 訳〕
  • 第17章 サイエンスコミュニケーション
    ―― 人類の帰結 ――
    クリス・ブライアント〔川本思心 訳〕

 

科学技術政策、報道、ボランティア活動、研究者コミュニティ内、科学教育、リテラシー、展示施設、公衆衛生、サステイナビリティ、西洋由来以外の知識体系と、様々な場面や文脈でのサイエンスコミュニケーションについて論じられています。各章の話題も「現代の事例」を冠する通り、BSE問題からSARS騒動、福島第一原発事故まで、現代社会を揺るがした諸問題に言及しています。

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「現代の事例から学ぶサイエンスコミュニケーション ―科学技術と社会とのかかわり,その課題とジレンマ―」(ジョン・K・ギルバート, スーザン・ストックルマイヤー 編著、小川義和・加納圭・常見俊直 監訳、慶應義塾大学出版会)

この本を読むことで、 「サイエンスコミュニケーション」というラベルが束ねている“科学と社会”の接点で考えるべき数々の観点を俯瞰することができます。

実践事例としては成功例だけでなく失敗例も数多く紹介されており、「サイエンスコミュニケーション」が華々しい“解決策”ではなく諸問題を総合して考えるための“ラベル”であることを感じさせてくれます。

加えて、より深く考えるための研究課題が巻末の付録に提示されており、この本を出発点とした熟考や議論を促してくれています。

 

以前ご紹介した「サイエンスコミュニケーションのはじめかた」とは異なり、サイエンスコミュニケーションの入門書や実践手法の参考書としては難しいかもしれません。

サイエンスコミュニケーション研究の参考文献、あるいはサイエンスコミュニケーターとしてある程度実践経験を積んできた方が活動の意義や方針を明確にするための拠りどころとして、この本は真価を発揮します。

サイエンスコミュニケーションの成り立ちや背景について述べられた「科学コミュニケーション論」とも異なり、より未来に向けた考えを促す役割を担っています。

 

サイエンスコミュニケーションとは何かサイエンスコミュニケーションの役割は何かサイエンスコミュニケーションはどこで行われるものか、といった問いを考え続ける際に、都度参照したい一冊です。

www.keio-up.co.jp

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