こんにちは!スギヤマケイです。
この記事では、書籍「科学コミュニケーション論」(藤垣裕子・廣野喜幸 編、東京大学出版会)をご紹介します!
別の記事でご紹介している「科学を伝え、社会とつなぐ サイエンスコミュニケーションのはじめかた」(独立行政法人国立科学博物館 編、丸善出版)とあわせて、サイエンスコミュニケーターとして活動する人が手元に置いておきたい一冊です。
この本は、東京大学の科学技術インタープリター養成プログラムを主導する先生方を中心に、サイエンスコミュニケーションの歴史や背景、他分野との繋がりなどの内容を体系的、学術的に整理した書籍です。
欧米におけるサイエンスコミュニケーションの成立から日本への導入の経緯、特に教育分野やメディアにおける実践状況といった内容を、科学技術社会論 (STS) の視点をふまえながら俯瞰的に論じています。
Ⅰ 歴史と背景
- 第1章 英国における科学コミュニケーションの歴史
- 第2章 米国および欧州の傾向
- 第3章 日本における科学コミュニケーションの歴史
Ⅱ 理論
- 第4章 科学コミュニケーション
- 第5章 PUS論
- 第6章 受け取ることのモデル
- 第7章 伝えることのモデル
Ⅲ 実践と実態調査
- 第8章 出張授業にみる科学コミュニケーション
- 第9章 伝える側の評価:科学技術ジャーナリズムを題材として
- 第10章 受け取る側の評価
Ⅳ 隣接領域との関係
- 第11章 科学教育
- 第12章 市民参加と科学コミュニケーション
- 第13章 科学者の社会的責任と科学コミュニケーション
別の記事でご紹介している本が実践のための参考書であるのに対して、こちらの本は実践の土台となる背景知識を養うための教科書ともいえます。
サイエンスコミュニケーションはなぜ生まれたのか?存在意義は何なのか?
科学をテーマに社会を繋ぐことがサイエンスコミュニケーションである以上、サイエンスコミュニケーターは科学やサイエンスコミュニケーションが他分野とどう繋がるかを把握しておくべきだと思います。
サイエンスコミュニケーターが自身の活動意義を問う時、参照先としてふさわしい一冊です。
この本、一度絶版になっていましたが、2020年12月に新装版が出版されました!
新型ウイルス騒動で科学と社会の関係が改めて注目されている今。
ご興味のある方はぜひ参照されてみてください。