スギヤマケイのコミュニティセンター

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開設して1年のご挨拶

皆さんこんにちは!スギヤマケイです。

この頃、

「あなたは、何をしている人ですか

という問いへの答え方をよく考えています。

 

もちろん状況によっては簡単に答えられます。イベント開催中には市民活動家としての一面を答え、勤務先のことを訊かれればその事業の話をします。

むしろ酒場の雑談でざっくりと訊かれたときにどう答えるか。

 

人にはいろいろな一面があります。たいていはその代表として、勤務先の話をする方が多いと思うのですが、私は割と面倒なタイプ(笑)なので、勤務先の話で自分の属性を代表させようとすると何だか落ち着きません。

そういうわけで、対話の場を作る市民活動も、解説動画を開発したりマーケティングを手伝ったりする平日昼間の業務も、すべてまとめて「コミュニケーター活動」をしている人だと答えたいのですが、抽象的でよくわかりませんね。語りすぎても重たい。

うまく簡潔に自己紹介する術を見つけたいものです。

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社交場的酒場の代表格、さんさき坂カフェ

 

このサイトを立ち上げてから、1年が経ちました。

サイトの開設に合わせてコミュニケーター活動を強化し、イベントの企画や運営のお手伝い、記事の執筆などに取り組む中で、ほかにも考える機会の増えた問いがあります。

「サイエンスコミュニケーションってなんだ」

 

私も取り組んでいる、科学に関する対話イベントの開催科学を題材に遊ぶイベントの開催科学を教える活動科学に関する記事公開のほか、科学実験を使ったパフォーマンス科学研究の支援科学技術政策の議論など、様々な取り組みがサイエンスコミュニケーションに関わると言われています。

教科書(*)的に答えるならば、以下4つを総合して広く科学と社会を仲介する活動である、と定義するのが定石です。

  • 科学への興味の促進
  • 科学の成果に対する理解の促進
  • 科学の考え方に対する理解の促進
  • 科学に関する意思決定への参加の促進

しかし、会話の中でこれを喋るのは長すぎます。

もっと短く言えないものでしょうか。

* 教科書の例

  1. 藤垣裕子, 廣野喜幸 編, 『科学コミュニケーション論』, 東京大学出版会(2008).

    www.k-sgym1116.online

  2. Gilbert, J. K., Stocklmayer, S. (2013). Communication and Engagement with Science and Technology; Issues and Dilemmas. Taylor & Francis. (ジョン・K・ギルバート, スーザン・ストックルマイヤー編著 (小川義和・加納圭・常見俊直監訳, 2015)『現代の事例から学ぶサイエンスコミュニケーション ―科学技術と社会とのかかわり,その課題とジレンマ―』慶應義塾大学出版会) 

    www.k-sgym1116.online

  3. 独立行政法人国立科学博物館 編, 『科学を伝え、社会と繋ぐ サイエンスコミュニケーションのはじめかた』, 丸善出版(2017).

    www.k-sgym1116.online

 

そう考えている中で、"Label"という表現に辿りつきました。

「サイエンスコミュニケーション」は、科学研究、科学教育、科学報道、科学政策など、科学にまつわるいろいろな立場の専門家が一堂に会し、協力して「社会の中の科学」を考えるきっかけを作るための"Label"です。

サイエンスコミュニケーションという概念が確立したのは2000年前後。科学研究、科学教育、科学報道、科学政策などの関連分野は、その前から存在していました。それぞれの知を結集し、より複雑化していく社会に対処するための"Label"として、「サイエンスコミュニケーション」は存在しています。

 

同様にマーケティング」もまた"Label"と言えそうです。

経営学、経済学、社会心理学、営業術、用兵術など、既存のいろいろな“知”を組み合わせることで、相手側のニーズやインサイトから事業を考え、実践していくマーケティング手法が洗練されてきました。

この"Label"は主に手法面で多用され、とても複雑な様相を呈しています。「○○マーケティング」という業界用語が無数に生まれ、もてはやされたり混乱を来していたりする昨今ですが、「いろいろな知を組み合わせて相手側のニーズやインサイトから考え、事業を実践していく」という本質は変わりません。

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社会心理学研究者の岩谷さんを招いた第3回てなんだサロン('18/11/3)

 

分野の名前というのは、何事も"Label"なのかもしれません。

どんな分野であれ、その分野にしかない“知”で成り立つというものは思いつきません。

私が大学で研究していた分子生物学もまた、遺伝学、生物工学、有機化学、分析化学、化学工学といった複数の分野の“知”が織り合わさった学問でした。

どの分野も、周辺に散らばる複数の“知”が多少の重みづけをされながら織り合わさって成り立つものです。

そしてその基点となる“Label”として、分野の名が付けられるのでしょう。

* 諸分野の成立についてはこちらの本が参考になります。

  1. 隠岐さや香 著, 『文系と理系はなぜ分かれたのか』(星海社新書137), 星海社, (2018).

www.k-sgym1116.online

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大学の専門分化について高等教育史研究者の原さんに語っていただいた第4回てなんだサロン('19/12/14)

 

活動の場を増やしたことで、考えることが増えました。

手間がかかりますが、しかしたくさん考えることではじめて、より良い言葉や行動の選択肢を得ることができるのだと思います。

言葉や行動による表現によって、他者と協同で物事を考えられることが、ヒトという生物種の強みです。他者の考えをふまえることで、ヒトはより深く、より広く物事を考えることができます。

しかし他者の考えをふまえることは、ヒト特有なだけあって実はとても難しい。

会話にせよ文章にせよ、人は他者の考えに触れる際に、

  • 知らないものを存在しないものと思いがち。
  • 調べずに理解できる部分だけを受け取りがち。
  • 自分の予期した情報だけを受け取りがち。
  • 自分の思う「絶対」を他者にも当てはめがち。

心理学用語で認知バイアスと呼ばれるものを含んでいますが、自戒も含めて、これらの偏りに陥っていないかを常々自問しておきたいものです。

偏りを避ける上では、自然科学の学術研究で培われる考え方が大きな効果を発揮すると思っています。すなわち、

  • 未知の事実の存在を仮定する
  • 十分に調べた先行研究の知見に基づいて検討する
  • 予期しない結果も含めて最も整合性のある解釈を行う
  • 「絶対」的な関係なのか確率的な関係なのかを考える

といった科学者の“知”への姿勢です。この“知”への姿勢が、他者の考えを正しく理解しようとする対話や読解を支え、他者の考えをよくふまえた意思決定を促します。

学術研究を十分に経験した人はそれぞれの専門性という強みに加えて、この“知”への姿勢という汎用性の高い強みを身につけていると考えています(*)。

科学者の“知”への姿勢を、社会の様々な場面におけるより良い意思決定に活用したい。

ゆえに私は、サイエンスコミュニケーションを軸にして他者の“知”に触れる機会、対話の場を創っています。

* もちろん、学術研究でしかこの姿勢が身につかないわけではありません。

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科博SCA 第7回総会での活動紹介 ('18/6/2)

 

この1年、20件以上のイベントを企画・運営したほか、50件以上のイベントに参加し、たくさんの方にお会いしました。また、Lab-Onという理工系学生向けメディアに掲載する記事の執筆も始めました。その分だけ多様な“知”に触れ、新しいことを考える契機になっています。

人に多様な側面があるように、物事も角度によっていろいろな側面が見えてきます。私が日々情報源にしているメディアの一つ、リディラバジャーナルが取り上げている社会課題は良い例で、ある物事には数多くの物事や人が関わり、多様な側面を捉えないと根本的な原因に辿りつけないことが示されています。

世の中に絶対の善悪はありません。何が善で何が悪かという価値軸は、時と場合によって人が意思決定するものです。その意思決定をより良いものとするために、たくさんの“知”を織り合わせて物事を多様な側面から考え、より正しく把握することが重要となります。

考えることは難しい。考えることは疲れる。でも、考えることは楽しい。考えることは面白い。考えることは格好いい。

とにかく考えること。

より多くの“Label”、より多くの“知”、より多くの価値軸で物事を見て考えることが、ヒトのより良い未来を創る鍵だと思います。

www.k-sgym1116.online

lab-on.jp

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魚類の性別と脳の関わりを研究する菊池さんと語った第5回てなんだサロン('19/3/2)

 

3月31日にこのサイトを開設して1年が経ったほか、4月3日に生まれて1万日の記念日を迎えました。

これまでの1万日は社会へのoutputよりも社会からのinputが圧倒的に多い期間でしたが、これからの1万日は力の及ぶ限り、社会に対してoutputしていきたいと思っています。

より多くの“知”をふまえ、より多くの人を含めて対話し、より良い意思決定を行う社会を営んでいくために。

より一層多くの“知”や人と出会い、対話し、考える機会を創っていこうと思います。

これからもどうぞよろしくお願いします。一緒に何か取り組んでいただける方はぜひお声掛けください。

一緒に世の中を楽しくしていきましょう!

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サイエンスボードゲームの会!6th開催中の一コマ('19/4/7)

 

最後に、改めて私の自己紹介をします。

酒場の雑談ではないので長いです笑

ちなみに、1年前の自己紹介はこちら↓

www.k-sgym1116.online

 

杉山啓です。

できるだけ多くの人ができるだけ広い範囲を「自分事」と捉えられる社会を目指して、対話の場づくりや“知”の価値の発信に取り組んでいる市民活動家、コミュニケーターです。

2014年に国立科学博物館サイエンスコミュニケータ養成実践講座を受講し、SC1、SC2を修了して「国立科学博物館認定サイエンスコミュニケータ」の資格を得ました。

www.k-sgym1116.online

修了生の同窓会組織である科博SCA(国立科学博物館サイエンスコミュニケータ・アソシエーション)で副代表を務めています。

また、科博SCA内の企画団体であるわちゃっとの一員として時々サイエンスカフェを開催したり、同じく科博SCA内の企画団体であるSCOPE教育分科会の一員として子ども向け科学イベントを開催したりしています。

愛媛県で生まれて、2010年に東京大学理科一類に進学。

2014年に工学部化学生命工学科を卒業し、2016年に東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻修士課程を修了しました。

当時の研究テーマは「好熱好酸性アーキアに見出だされた新規tRNA修飾の構造および機能解析」です。生体分子の化学構造による挙動の違いを分析していました。

www.k-sgym1116.online

大学入学を機に小倉百人一首競技かるたを始め、現在も細々と続けています。四段、A級登録選手です。A級公認読手の資格も持っています。

また、東大ガイダンスの相談員としても活動していました。

修士課程修了後はビッグデータを活用した市場調査の会社でマーケティングコンサルタントを務め、2019年2月からはスタートアップ企業に移って解説動画 (explainer video) のフォーマット開発を行っています。

ほか、IMASSA認定マーケティング実務士(マーケティング・ビジネス実務検定A級)や統計検定2級などの資格を持っています。

www.k-sgym1116.online

自分主催の活動に限らず、他の方の活動に乗っかるのも好きです。

誘われたものは予定が重複していない限り基本的に行くようにしています。ぜひお誘いください。

【ご連絡はこちらへ】

 

スギヤマケイのコミュニティセンターを、2年目もどうぞよろしくお願いします!

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足摺岬で自撮りしてみました(2018年末に撮影)

この投稿をトップに表示させるために、投稿日時を2046年8月19日にしてみました。私の生誕2万日記念日です。当日はぜひ祝ってください笑

(2019年4月9日)

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